2019年4月から施行された「働き方改革法」。労働環境が大きく変化しますが、中でも企業側が頭を悩ませそうなのが、「有給休暇」の消化促進義務化です。
ただし、労働時間や勤務日数によって当てはまらないケースもあります。人事戦略立て直しのため、ケース別に整理してみましょう。
●こんなケースは有給休暇を消化させないとアウト
改正労働基準法では、年10日以上有給休暇がある従業員の消化日数が5日以下の場合は、企業が有給休暇取得日を指定して消化させなければなりません。対象になるケースは以下の通りです。
・入社後6か月以上の正社員、フルタイムの契約社員
・入社後6か月以上で週30時間以上勤務のパート社員
・入社後3年半以上で週4日勤務のパート社員
・入社後5年半以上で週3日勤務のパート社員
これに加えて、出勤率が80%以上であることが条件となります。店舗勤務のアルバイトも上記の条件に当てはまれば対象となります。
●有休休暇を消化させなくても大丈夫なケース
一方、週の勤務が2日以下の従業員は最大で年7日の有給休暇しかないため、義務の対象になりません。また、すでに従業員が5日消化している場合は、促進義務は生じません。さらに欠勤が多い従業員も対象外となるケースがあるため、勤務日数はきちんとチェックする必要があります。
●有給休暇消化促進のおもな方法
では、有給休暇の具体的な消化促進にはどのような方法があるのでしょうか。大きく分けると以下の2つがあります。
・個別指定方式
オーソドックスに従業員ごとに日にちを指定する方法です。個別の管理が面倒な半面、繁忙期を避けてとってもらうよう交渉できるメリットがあります。
・計画年度休暇方式
こちらは、個別ではなく会社と労働組合で話し合い、あらかじめ5日を超える部分の休暇を年度で一括して決める方法です。個別に管理する必要がなく、工場等の全社で休める業種に向いています。5日のベースがあるため、個別指定方式よりも1人当たりの有給休暇消化率が高くなります。
人手不足が続く雇用環境の中、企業にとっては厳しい法改正といえそうですが、法案に違反すれば30万円以下の罰金が課されるだけでなく、ブラック企業という噂が流れ、今後の人材獲得に支障をきたすことになりかねません。
従業員とのコミュニケーションを上手くとり、安心して有給休暇を消化できる環境にすることで、従業員の定着率を高め、業績向上と人材獲得に繋げたいものです。