心理学の世界に「コンフォートゾーン」という用語があります。コンフォート(Comfort)とは「楽しみ」とか「楽」という意味の英語ですが、コンフォートゾーンとは、人間の心の領域で、自分にとって一番心地の良い領域のことを指します。
そして自分のコンフォートゾーンはどこかと自覚することが非常に大切なのです。
何故なら、まず、心理学的に観察すると、コンフォートゾーンにいるときはリラックスした状態なのでパフォーマンスを発揮しやすいとされているのです。逆にコンフォートゾーンから外れると過度に緊張してパフォーマンスが低下してしまうのです。
良い例がサッカーや野球の試合です。
スポーツにおいてはアウェイよりホームの方が断然強いのは御存知の通りです。コンフォートゾーンであるホームでは、観客の殆どが味方なのでリラックスした状態でプレーが可能となり、ひらめきのあるようなプレーや流麗なプレーができるのです。一方、敵に囲まれたアウェイでは萎縮してしまって、伸び伸びしたプレーは影を潜め、ぎこちないプレーが続出してしまうのです。
いうまでもありませんが、コンフォートゾーンで戦った方がいいに決まっているのです。ですから、大切な商談は先方ではなく自社で行った方がよいのです。接待にしても然りです。背伸びして初めていく高級フレンチレストランで会話が弾むわけがありません。行きつけの小料理屋であれば粋な演出も可能になるでしょう。
また、人間は、コンフォートゾーンに戻り、できるだけコンフォートゾーンに留まろうとする強い傾向があるのです。誰でもアウェイよりホームでプレイしたいですよね。
これは子供にも当てはまります。
例えば、学校の成績は50点位がコンフォートゾーンと思っている人が、まぐれで80点を取ったりすると、80点は心地が良くないと感じて、次の試験では手を抜いていつもの定位置に戻ってしまのです。 逆に、80点位がコンフォートゾーンの人が、運悪く50点を取ったりすると、心地が悪いと感じ、これは自分の実力ではない私には80点を取れる実力があるはずだと思い、猛勉強して、再び定位置の80点を取り戻します。両親や先生に何も言われなくても、頑張って80点を獲得してしまうのです。
もちろん営業マンでも同様です。
例えば、月間売上は500万円位がコンフォートゾーンの人が、運良く800万円の売上を達成しても、800万円は心地が良くないと感じて、翌月は手を抜いていつもの定位置に戻ってしまのです。
逆に、800万円位がコンフォートゾーンの人が、運悪く500万円の成績に落ち込んだとすると、心地が悪いと感じ、これは自分の実力ではない私には800万円を取れる実力があるはずだと思い、これまで以上に努力して、再び定位置の800万円を取り戻すのです。上司に指導されなくても、頑張って800万円の売上げを達してしまうのです。
こう考えると、企業経営においても、コンフォートゾーンを認識することは非常に大切なのです。
ところで、大切なコンフォートゾーンはどのようにして決まるのでしょうか。
ほとんどの人のコンフォートゾーンは現在の場所です。大部分の人が現在の環境が慣れ親しんでおり一番安心するし心落ち着くと感じているのです。いわゆる「ぬるま湯」の状態です。しかも、現状に満足する傾向は年を取るほど強くなっていきます。
しかし、現状には満足することなく自分のコンフォートゾーンを現時点より高いところに設定している人がいることも事実です。志が高い人やハングリーな人はコンフォートゾーンが現状より高いのです。そして、この人たちは誰に強制されることなく、上を目指して努力するのです。
また、コンフォートゾーンは変えることができるのです。現時点がコンフォートゾーンだったとしてもコンフォートゾーンを高いところに設定しなおすことは可能です。
皆さんも先ずは自分や周りの人のコンフォートゾーンを確認してみては如何でしょうか。