そのメール、不愉快です!!!
いつの間にか電子メールでの遣り取りが増えてきました。メールなら不在中の相手にも報告ができ、面と向かって言いにくい相手にも意見ができます。しかも、記録がキチンと残りますので、証拠にもなります。このように大変便利なメールなので多用されるのは自然な流れですが、その反面、文章力が更に求められるようになります。不用意な文章はトラブルのもとになるからです。今回は、メール文を作成する際に気を付けたいポイントを紹介します。
次のメールを受け取ったら、どうように感じるでしょう。
(不愉快メール)
お送りいただいた申込書では、受け付けすることが出来ません。何故ならば、契約者様の押印が無いからです。他に間違いはありませんので、契約者様が自署されるか、又は押印したものを、再度、ご提出いただけますようお願いいたします。
なんだか、イライラするでしょう。どうして不愉快に感じるのでしょうか?。原因は2つあります。
- ① 無礼
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一つ目のイライラのポイントは「間違いはありません」という「上から目線」の言葉です。
「間違っている」とか「正しい」というのは、相手を評価する言葉です。まさに「上から目線」を強く感じます。
相手側が勝手に決めたルールに沿っていないからといって、自分を「間違っている」と愚者や悪者のように扱われるのは、不愉快ですよね。
(企業文化が関係する場合は大変)
このようなメールを書く人が属する会社は、企業文化に問題があることも少なくありません。
このようなメールを書く企業では、社内の会話においても、取引先を「間違っている」とか「正しい」と評価していることが多いのです。上司が部下に対して「この人は間違っているから直させろ!」と指導したなら、このようなメールになるのはやむを得ないかもしれません。
お客様に失礼にならないような文章を書くのは大切ですが、根本的には、お客様を見下すことなく、お客様を仰ぐような気持ちで接する文化を築くことが、もっと大切なことだと思います。
- ② 論理的
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2つ目のイライラのポイントはロジカル過ぎる点です。
このメールは非常に論理的な文章で書かれています。社内の書類であれば、問題はないかもしれません。しかし、お客様に出すメールでは、論理よりも感情に配慮することが非常に大切なのです。
「出来ません」とピシャと言われると、人格さえ否定されたような気分になり嫌な気持ちになりかねません。
さて、どのようなメールなら受け入れられるでしょうか。
(改善メール)
契約者様の押印またはサインがあれば、お手続きが可能です。
「相手を表立っては否定しない」-これが日本の奥ゆかしい文化というものです。
また、「ノー」と言わず、「イエス」というのは、営業マンの基本です。
「・・・出来ません」と否定せず、「…であれば可能です」と肯定するのです。
この言い方は、相手に代替案を提示する言い方でもあります。つまり、相手に選択肢を与える文章になっているのです。
人間は、
無意識に自己防衛本能が働き、自由を奪われることを極端に嫌う傾向があります。「…出来ません」といわれると道を塞がれたような気になりますが、「…であれば可能です」といわれると、選択の自由が自分にあるような気がして安心するのです。
(参考:「その文章、キケンです!」小田順子著、日本経済新聞出版社)