大きな台風の上陸が予想される場合に、前もって鉄道の運行を休止する「計画運休」が定着してきました。社員の安全を考え、優秀な人材を定着させるためにも、企業の的確な対応が求められています。計画運休に対する企業対応の現状と、出社ルールの明確化について考えます。
●計画運休に対する企業と社員の対応は?
計画運休に対する企業の対応はかなり遅れているのが現状です。NHKが実施したアンケート調査によると、「計画運休について会社から出勤の指示があったか」について聞いたところ、「特に指示・連絡がなかった」「各自で自主的に判断した」人が合わせて約85%に達しました。
今回は計画運休後に運転を再開したのが月曜日の午前中ということもあり、自主的な判断で出勤を選んだ人で首都圏の主要な駅は大混雑となりました。月曜日は会議がある企業が多く、無理にでも出社しなければと考えた社員が多かったようです。
一方で、日本テレビのニュースによると、「交通状況に合わせて出社させる(午後出勤も可)」「工場の午前中の操業を中止する」など明確な対応をとった企業もありました。これらの企業は日頃からそのような体制をとっているとのことです。そのように企業の対応には落差があり、自然災害への対応は社会全体で取り組んでいく必要があるといえます。
●出社ルールの明確化で社員に安心感を
社員にとって一番困るのは自主的な判断に任されることではないでしょうか。「もし、他の社員が出勤して、自分だけが遅れたら」と考えると自宅で待機するのも気が気ではないかもしれません。
計画運休の運転再開時刻については、台風の影響の度合いによって変化するため、予想以上に被害が大きいと安全確認にも時間を取られることになります。今回は当初の再開予定時刻よりも2~3時間以上遅れたために、駅で立ち往生する人が増える原因になりました。立ち往生となればほとんど無駄な時間を過ごすことになるため、企業にとっても効率の悪い結果となります。
やはり会社として台風や地震災害等があった時の出勤についてルールを策定し、社員に通達しておくことが必要です。重要な会議ではなく打ち合わせ程度であれば、自宅にいながらLINEやチャットワークなどのツールを使って意見のやりとりはできます。
人手不足が続く雇用環境の中で、優秀な人材に少しでも長く勤務してもらうためにも、出社ルールを明確化して働きやすい体制を整えることが望まれます。