「働き方改革関連法案」が施行され、ゆとりができたのはよいのですが、新たに浮上してきたのが、収入減によって住宅ローンの返済ができなくなる「住宅ローン難民」の問題です。企業としてはどのような対策が打てるのでしょうか。
●残業代激減で住宅ローン返済に支障も
長時間労働の是正や、同一労働同一賃金を目指す「働き方改革関連法案」の施行で、労働環境が改善された半面、残業代の激減で予定した収入を確保できず、住宅ローンを払えなくなる人が続出しています。やむを得ず、より収入の高い職場を求めて転職したものの、過酷な労働から体調を崩し入院、マイホームを手放すという最悪の結果になる人もいます。
このいわゆる「住宅ローン難民」を出さないために、企業ができる対策には以下のようなものが考えられます。
●対策1=副業を認めて収入を増やしてもらう
法律上残業を抑制しなければならないとしたら、副業を認めて残業代の目減り分を稼いでもらうのも一考です。これならば会社のコストはかからないので、実施しやすい方法です。もちろん本業に影響しない範囲の仕事が条件になります。アルバイトを掛け持ちするWワークとは異なりますので、他社に所属せず自宅でできるような仕事が望ましいでしょう。
●対策2=住宅手当を増額する
住宅ローンが払えないために転職されるくらいなら、住宅手当を増額する方法もあります。ただし、不公平にならないように全社員の住宅手当を増額すると、かなりのコスト増になります。残業代が削減された分を住宅手当として頭割りで支給するなど、工夫が必要になるでしょう。
会社が社員に融資しているケースの場合は支払いを猶予し、退職金で相殺するような方法も考えられます。
●対策3=業績を上げてボーナスで還元する
これが王道かもしれませんが、業績を上げてボーナスで還元するのが理想といえます。それには経営者が社員に「業績が上がれば積極的にボーナスで還元する」旨を熱く語り、モチベーションを高めることが大事です。
業績の向上が直接収入増に結びつくのであれば、社員も効率よく仕事を進めるようになり、残業しなくても会社の業績向上と収入増が両立する、「働き方改革」の本来の目的を果たすことにつながります。
長時間労働が減れば収入も減る。「働き方改革」がもたらす光と影は、人材獲得にも影響するだけに、企業にとっては難しい対応を求められています。