いわゆる5月病でせっかく採用した従業員が辞めてしまうと、採用までにかかったコストが無駄になってしまいます。言葉のイメージから軽く考えがちな5月病ですが、実際はそれが退職の原因になることもあります。企業としては、どのような対策を取っていけばいいのでしょうか?
5月病が企業に及ぼす影響
新生活が始まる4月からの1ヶ月、誰もが新しい環境へ適応しようといつも以上に頑張ってしまうものです。その頑張りが実を結べばまだ良いかもしれませんが、実際には理想と現実のギャップに悩まされることも少なくありません。
それが見え始めてくる5月頃には、突然やる気がなくなったり疲労感が強くなったりといった5月病の症状が出る人がいます。
ですが生きていれば誰でも「だるい」と感じることがあるので、5月病といわれてもあまり深刻に受け止められないかもしれません。
しかし、5月病のような症状を抱えた従業員がいると、職場の人間関係が悪くなったり仕事の効率が下がったりといった問題が出てくることがあります。また5月病※が長引くことで、うつ病などの精神疾患にかかる可能性もあります。
※5月病のような症状がある場合の診断名は、適応障害もしくはうつ病となる。
5月病と思しき従業員には優しい言葉をかける
5月病かどうかはともかく、新しい環境に戸惑っている人に厳しい言葉をかけるのは良くありません。
厳しい言葉と言われると「やる気なんて気の持ちようでどうとでもなる」というような言葉をイメージしますが、つい言ってしまいがちな「もう慣れた?」といった意味合いの言葉にも気をつけなくてはなりません。
「もう慣れた?」と聞いたときに相手がどこか気まずそうにしていると感じたら、「気にしないで大丈夫だよ。」などの声掛けでフォローしてあげることが大切です。
こうした声掛けの重要性を従業員全員で共有することによって、職場環境をより良い状態へと導くことができます。
過重労働と従業員のメンタルヘルス
従業員のメンタルヘルスを良好に保つことは企業にとって良いことばかりです。ですから企業としては「ストレスチェック制度」などのメンタルヘルス対策に徹底的に取り組む必要があります。
また現在、企業の中で過重労働が起きている場合はそうした問題を解消させることも重要です。
それは、過重労働が常態化している企業は従業員のメンタルヘルスが悪化しやすい傾向にあるためです。
このような努力・改革から従業員のメンタルヘルスが良好に保たれれば、心の問題から退職する従業員も減ります。そしてそれによって離職率が下がれば、採用活動にも良い影響が出てきます。
まとめ
企業をより良い状態にしていくためには、「たかが5月病」と軽く考えるのではなく、従業員のメンタルヘルス対策に企業として真剣に取り組むことが大切です。