「アウトソーシング」という言葉が、一般的に広まりはじめたのは80年代後半ですが、時代の変化に対応しやすいこともあり現在では多くの企業が何らかの業務をアウトソーシングしています。
しかしながら、必ずしもアウトソーシングをうまく活用できているとはいえないようです。私が聞いたところでは、「コスト削減につながらなかった」とか、「コスト削減にはなったが、業務代行に過ぎず専門性を持ち合わせていなかった」など不満の声をよく聞きます。
しかしこのような望ましくない結果になったのには、何らかの理由があるはずです。
ここではその理由をある会社の事例から分析していきたいと思います。
ソフトウェア開発業務を主業務とするS社(社員数20名)は、思い切って人事総務業務のほとんどを社長の大学時代の先輩が経営するアウトソーシング会社に依頼しました。
しかし、依頼し始めてから1週間もしないうちに現場では、アウトソーシング会社の担当者への不満がたまり、時には口に出して注意することもありました。
「間違いが多い」「契約範囲があいまいである」「法律を知らない」「締め切りを守らない」など問題は、山ほどありました。結局のところ今回の場合、このアウトソーサーを選んだことに大きな問題があったのです。
■このアウトソーシング会社の問題点
その1 | 契約前の詳細な打ち合わせが少なく、業務フローなども示してもらっていない。 |
その2 | このアウトソーシング会社の専門分野は、テレマーケティング業務で、最近始めた人事総務業務に関しては、実績も少なく専門家もほとんどいなかった。 |
その3 | 契約内容の範囲がおおまかで、当然契約内容に含まれているような業務もオプション扱いで別途料金を請求してきた。 |