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つまみ食い「管理会計」のすすめ 

中小企業診断士 富永 秀和
TEL03-6789- 2387
e-mail info@globalance.co.jp
http://www.globalance.co.jp/

実は、昨年12月から広告代理店の社長も務め始めました。目下、経営コンサルタント時代に培った経営ノウハウを実践で活かしているところです。改めて整理してみると、それらノウハウで管理会計の知識を利用したものが多いことに驚かされます。それで、今回は、私の経験を踏まえた「つまみ食い管理会計」を伝授します。

あるクライアントに提言した値上げのお話です。
そのクライアントは慢性的な赤字で困っていました。そこで、商品・お客の絞込みを行い、赤字を出すような商品(又はお客)とは取引を止めることにしました。

というのは、赤字には2段階あります。先ずは、原価(外注費+材料費)と変動販売管理費の方が仕入れ値より高い場合(一次赤字)です。これは、仕事をすればするほど赤字が膨らみますので、直ちに取引を中止しなくてはなりません。逆に言うと、取引を中止するだけで利益が出るのです。正確に言うと、赤字が少なくなります。
そのクライアントの場合、変動販売管理費は約10%でした。したがって、原価と販売価格に10%しか差のない商品、つまり、粗利10%以下の商品は、管理会計的には赤字受注であり、直ちに取引を中止することが必要だったのです。

ここが重要な点です。

財務会計の売上総利益は、売上原価(外注費+材料費)が売上高を上回れば、利益が出ているような錯覚に陥りますが、実際には、運送費や副資材費など、売上原価以外の変動費が少なくないのです。そして、これらの変動費を考慮すれば、赤字受注であることが多いのです。

次に、粗利10%以上の商品についてですが、当時の体制では、平均の粗利が30%はないと全体で利益が出ませんでした(二次赤字)。本部費や事務所費用などをカバーする必要があるためです。

つまり、①粗利が低い商品の取扱量を減らすこと、②粗利が高い商品の取扱量を増やすこと、が必要だったのです。
具体的には、樹脂製品のうち、まずは年間の売上高上位2割を占める製品のうち、変動費率が9割を超える製品(限界利益率が1割未満の製品)か、一注文当たりの限界利益額(平均、以下同じ)が15,000円を下回る製品について、値上げをお願いすることにしました。

値上げ後の価格は、変動費率が約8割(限界利益率が約2割)、かつ、一注文当たりの限界利益額が約3万円となる価格としました。

ここで注意して欲しいのは、①1注文当たりの限界利益額にも注目している点と②売上高上位8割を占める製品に限定した点です。 まず、1注文当たりの限界利益額について注目したのは、小さな注文でも大きな注文でも、受注管理・経理処理など間接費用は同じだからです。

したがって、1注文当たりにかかる間接費用を回収できるだけの限界利益を確保できなければ、全体では赤字となってしまいます。

簡単に計算したところ、1件当たりの間接費用は、15,000円でした。したがって、仮に限界利益率が30%と高い注文であっても、注文ロットが小さいため、発注金額が30,000円の場合は、限界利益額は9,000円となってしまい、間接費用(15,000円)を回収できず、実質的には赤字受注となってしまいます。

ですから、「骨折り損の草臥れ儲け」製品をなくなるような値上げをお願いしたのです。

これは実は、管理会計でいうところのABCなのです。ABCといっても、イロハ(基本)という意味でのABCではありません。管理会計でのABCとは、Activity-Based Costingの略で、活動基準原価計算と訳されているものです。これは、1980年代、米国の製造業の間接費を製品に配賦する方法として考案されたものです。

従来の原価計算や限界利益の計算においては、原材料費や工員人件費などの直接費の管理に重点が置かれていました。しかし、実際には間接的業務コストもばかにできません。現実問題として、直接費用はカバーできても間接費用まではカバーできないため、赤字となる会社がほとんどなのです。そこで、膨らみ続ける間接費をキチンと管理して、その無駄を見つけるための原価管理法としてABCが考えられたのです。ABCにより、営業活動や採用活動などの生産性を計測することが可能となり、またもうかる顧客層、商品層、サービス層はいったいどれなのかといった分析もできるようになったのです。

管理会計のABCはとても難解で本格的に導入するには相当な困難が予想されます。

しかし、このクライアントの値上戦略のように、ABCのエッセンス(本質)を理解して、少しでも活用することは可能なのです。

※総務系専門月刊誌「スタッフアドバイザー」(税務研究会出版、2012年2月号)に私が執筆した管理会計に関する解説記事が掲載されています。

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