介護施設で活躍しているのがヘルパー、サッカー場で活躍しているのがサポーター。
どちらも助っ人/お手伝いさんですが、あなたはどちらのタイプでしょうか。そもそも、ヘルパーとサポーターはどう違うのでしょうか。新春号ではヘルプとサポートの違いを紹介し、サポーターとなれない理由を説明します。
1 上から目線VS下から目線
文字通り、上から目線がヘルプで、下から目線がサポートです。
例えば、ある人が道路を歩いていて、大きな穴に落ちたとします。どうやっても自力で穴の外に出ることがきません。しかたがなく大きな声で助けを呼びました。幸い、通りがかりの人が穴の上から手を差しのべて引っ張り上げてくれました。これがヘルプです。
一方、ある人が屋根に登り降りようとしましたが、はしごの置いた足場が悪かったので、はしごがグラグラしていました。そのまま降りても降りられないことはないと思いましたが、より安全を考え、通りかかりの人に、はしごを支えてもらい下に降りました。これがサポートです。
2 無力VS有力
ヘルプの場合、「助けを求めた人」は、自力ではどうすることもできない状況であり「助けを求めた人」にとっては「無力」状態です。つまり、「助けを求めた人」には力がありません。他方、ヘルプの状態では「助けにやってきた人」は、「いなくてはならない存在」です。また、助かるためには、「助けにやってきた人」の指示や命令を聞かなければなりません。
一方、サポートの場合、「助けを求めた人」が自力で降りられないと言うことではありませんが、安全を考えて、はしごを支えてもらったケースです。ですから、「助けを求める人」には自力で降りる力はあります。すなわち「有力」状態です。
どちらの状況も通りかかりの人に助けを求めています。しかし、「「助けを求めた人の状況」と「助けにやってきた人」との関係が根本的に異なります。
3 カウンセリングVSコーチング
人の足りない所を補ってマイナスを「0(ゼロ)」にしていくのが「ヘルプ」で、それを行うのがカウンセリングです。一方、プラスを更に大きなプラスに伸ばしていくのが「サポート」で、それを行うのがコーチングです。つまり、コーチングはその人の強みに焦点をあて、そこから解決策を見出していくコミュニケーションなのです。
4 子供VS大人
子供にするのがヘルプ、大人にするのがサポートです。言い換えると、できないことをやってあげることがヘルプです。例えば、魚を捕れない人に魚を捕ってあげるのがヘルプです。それに対して、サポートは魚の釣り方を教えてあげることです。生まれたばかりの子供はほとんどヘルプですが、成長して大人になるにつれてサポートが増えていきます。
5 分かっちゃいるけど止められない
多くの親は、子供に対してヘルパーからサポーターに変わらなければならないと分かっています。また、多くの上司は部下に対してヘルパーではなくサポーターであるべきだと理解しています。
しかし、実際にはヘルパーのままでいることが多いのです。その理由には次のようなことが考えられます。
①子供が自立して親離れするのが寂しい
②教える(サポートする)より自分でやる(ヘルプする)方が楽で手っ取り早い、
③指示や命令を出したい(権力・威厳を保ちたい)
確かに短期的にはヘルパーの方が心地よさそうです。しかし、長い目でみれば、サポーターの方が双方にとって望ましいに決まっています。
今年こそ、サポーターに変身しませんか。