現在、税と社会保障制度の一体改革が菅政権が議論されており、今年6月には政府案が提示される見通しになっております。新しい制度で、社会保険の負担が増えることはあっても軽減されることはないのは確実です。社会保険に関して我々自身でできる自衛策を講じることが急務になってきております。そこで今回は社会保険の負担軽減策を紹介いたします。
1.昇給を7月に
多くの会社では4月に昇給することにしていると思います。
実は社会保険(健康保険と厚生年金保険)も4月昇給が前提になっており、4月の昇給が速やかに保険料の増額に繋がるように設計されているのです。具体的には、4月・5月・6月の3か月間の平均給与をベースにして、9月から翌年8月の保険料が決まるのです。保険料は給料の約4分の1(25%)であり、それを社員(本人)と会社で半分ずつ負担することになっています。
もし、昇給を7月に遅らせると、増額分が保険料に反映されるのは、翌年の9月からになるので、負担増を1年間遅らせることができます。
例えば、給与が20万円の人を22万円に昇給させるとしましょう。給与が20万円なら、保険料は本人負担分と会社負担分を合わせて約5万円、給与が22万円なら保険料は約5万5,000円です。もし、4月に昇給させると、保険料は、その年の9月から約5,000円の増額、1年間で約6万円の負担増となります。しかし、7月に昇給させると、保険料の増額は翌年の9月からとなります。つまり、社員と会社がそれぞれ3万円ずつ、労使合わせて6万円の負担軽減となります。
もし、社員が10人いるとすると、会社の負担軽減額は約30万円にもなります。
2.退職は月末の前日に
保険料は資格喪失日の前月まで納めなくてはなりません。ここで注意が必要なのは、資格喪失日は退職日ではなく、退職日の翌日と決められているのです。
例えば、3月31日に退職した人は、資格喪失日は4月1日になるので、3月分まで保険料を納めなくてはならないのです。もし、退職日を3月30日にしたならば、資格喪失日は3月31日になるので、2月分までの保険料を納めればよいことになります。給与が40万円として、労使合わせて約10万円分の負担を軽減することができるのです。
3.請負や人材派遣を活用
社会保険(健康保険と厚生年金保険)は雇用している会社が、保険料を納める決まりになっております。したがって、当たり前のことではありますが、人材派遣業者や請負業者を利用した場合は、保険料を負担する必要はありません。さらに、人材派遣業者などを利用した場合には、健康保険料や厚生年金保険料だけでなく、雇用保険料や労災保険料を負担する必要もなくなります。保険料を負担する必要がないということは、届出などの面倒な手続きをする必要もなくなるということです。
保険料は今後もどんどん増加することが決まっていますので、早めに対策を講じることをお勧めします。