長引く不況のため売上は減少し、借入金は増える一方、このままでは倒産をするしかないのではないかという中小企業も増えています。そんな中、昨今テレビなどで取り上げられている成功企業の話をいくつかピックアップしました。
事例1 特化 「八天堂」の場合
以前は広島で何店舗かを出店し100種類以上のパンを売っていたものの売上は徐々に減少していました。このままでは経営が立ち行かなくなると考え、新たな商品を開発。通常、クリームパンというのはパンの中にクリームが入っている状態で焼くのですが、パンを焼いてから中にクリームを入れるという方法で冷めてもおいしいクリームパンを開発。このクリームパン1つに絞って東京の品川に出店、販売を開始。その結果、おいしさが評判を呼び並ばなくては買えないほどの大人気に。東京での成功で地元でも売上が増大しました。
事例2 御用聞きサービス 「でんかのヤマグチ」の場合
地元で大型量販店が出店しても売上を減らさずに営業を続けている町の電気屋、でんかのヤマグチでは営業マン「御用聞き」が直接、お客様のご要望にお答えするサービスを展開。お客様の要望に何でも引き受けています。
電気の修理、使い方だけならわかりますが、それ以外にも買い物やアッシー、留守番代行等何でも丁寧に時間をかけてお客様がご満足できるきめ細かいサービスを展開。
顧客は主にご老人です。電気知識のないご老人にとっては価格が高くても、様々な面倒を見てくれるので大助かり。結果としてリピーターとなります。このように困っている方を誠心誠意お手伝いするサービスをすることで売上は増大しています。
事例3 徹底したコスト削減 「飲食店業」の場合
今年、金の蔵Jrが1品270円という店舗を展開して人気を博したがこれに対抗してワタミ系列から新たに出店した仰天居酒屋和っしょいでは1品250円という低価格で料理・ドリンクを提供している。ここでは最初にカードに現金をチャージしてからメニューの注文を全て機械で行います。できた料理は自分でサービスカウンターに取りに行くことによって人件費を極限まで削減することによりこの値段でのサービスの提供を可能としています。 また、経済産業省が行った顧客満足度で3位のあきんどスシローでも機械化は進んでおり、ネタのシャリを握ったり海苔を巻いたりするのは今や職人ではなく全て機械が行っています。
上記は大型チェーン店で仕入力や規模もあるから可能と考えられるが、究極のコスト削減の飲食店として中野にある「清貧」という居酒屋があります。ここでは、料理を自分で作ることによりビール(ジョッキ)199円、梅酒50円~という激安価格を実現しています。そのかわり、料理は材料を選んで厨房に入り自分で作るという居酒屋というよりはキャンプ場をイメージしたスタイル。いままでにない新たなサービスの提供ということで大盛況のようです。
今の日本にはモノやサービスはすでに溢れており、かつ、少子高齢化が進み人口は減少、また不況による失業率の増加、給料の削減により個々人の可処分所得も減少しているため、市場全体も縮小傾向にあります。そのような状況の中で中小企業が今までとまったく同じサービスしか提供をしなかったとしたらどうなるでしょうか。市場というパイが縮小傾向にあれば当然パイの奪い合いになります。今までとまったく同じことを同じようにしていてもこれまでと同じ売上を上げ続けるのは厳しい状況になっていくというのは必然といえると思います。
そんな中で、上記にあげた企業は商品を特化して他社にはマネをできない付加価値のある商品で勝負し、または低価格競争とは一線を画した徹底したきめ細かいサービスの提供をしたり、逆に不景気下の需要に合った低価格を実現するための最大限のコスト削減をしたり、同じ低価格でも料理を自分で作るという新しい視点でのサービスの提供をしたり、とそれぞれの企業努力を行っています。こうした、付加価値のある商品や新たなサービスの試み、市場のニーズに合った商品の提供をすることによって中小企業も生き残ることができるのではないでしょうか。