皆さんの会社も、年に1回は、商品の棚卸しをしていると思いますが、棚卸しは、商品だけでなく、人(仕事)にも必要です。仕事の棚卸しは、個人の業績アップのために有効な手段です。
世界最高の経営学者であったP・F・ドラッカーは『ドラッカー名言集 仕事の哲学』(ダイヤモンド社、2003)の中で次のように述べ ています。
「成果をあげる者は、仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。何に時間がとられているかを明らかにすることからスタートする。
次に、時間を管理すべく、時間を奪おうとする非生産的な要求を退ける。そして最後に、得られた自由な時間を大きくまとめる。」
「時間の活用と浪費の違いは、成果と業績に直接現れる。知識労働者が成果をあげるための第一 歩は、実際の時間の使い方を記録することである。」
仕事の棚卸しは、組織全体で行うと更に効果があります。
この場合、仕事の棚卸しには、主に「3ムの排除」と「組織のレベルアップ」の2つの効果が期待でき ます。 「3ムの排除」とは、「ムダ・ムラ・ムリ」を取り除くことです。これらを徹底的に排除することで、会社の業績は確実に良くなります。
仕事の棚卸しで職場にはどんな仕事があるのかを把握できます。また、グループ全体でムリ・ムラ があることも確認できます。仕事はややもすると「できる人」ばかりに流れがちです。これがムリ・ムラの原因となります。したがって、ムリ・ムラを排除するためには、仕事を「できない人」にもやらせることが大切なのです。
具体的には、「できない人」に対して、その人ができるようになるまで仕事を優先的に与える。ただ し、ただ単に仕事を任せるだけでなく、「できる人」が教えたり、上司がコーチングの手法なども生かして上手くサポートすることが大切です。
こうすることにより、個々人の能力アップが図れるとともに、組織全体としてのレベルアップにもつながるわけです。