5月病が話題に上る季節となりました。五月病とは、元々、大学入学後の学生が、5月のゴールデンウィーク終了後頃から、憂鬱な気分になり無気力な状態になることが多いことからついた病名です。最近では、新入学生だけではなく、新入社員にも多く見られる症状です。
精神的には、何をやるにもおっくうな気持ちとなる、根気が続かないといった症状、つまり、やる気のない状態になります。思い通りいかないことから、イライラするようにもなります。身体的には、疲れやすくなり、食欲不振・下痢・悪心・吐気・腹痛など消化器系の症状、睡眠障害・頭痛・めまい・動悸など自律神経系症状が見られます。その結果、社員の業績は低下してしまい、出社拒否にいたる場合もあります。そこで、今回は、5月病の原因と対策について、お教えします。
①目標喪失感
新入社員の中には会社に入るためにかなりの努力をしてきた人が多いと思います。特に最近のような就職難の時代には特に大変な努力だったと思います。しかし、無事に会社に入ってしまえば、目標としていたものがなくなってしまいます。それが、5月病の主な原因の一つなのです。
この場合は、新たな目標設定が必要です。
会社に入るのは目的そのものではなく、何かを達成するための手段であり、途中のマイルストーン(里程標)だったはずです。もう一度、本当の目的を思い出して、そのための次の手段を見つけたり、次のマイルストーンを決めることが大切です。もし、それが大変だったり時間がかかるようであれば、「1週間に1冊は本を読む」など、とりあえず何か簡単な目標を新しくたててみましょう。小さな目標を設定し、確実にクリアしていくことで、達成する喜びを実感できると共に、自信も付いてきます。
②環境変化
新しく会社に入ると、生活のリズム、人間関係などが激変します。この環境変化にうまく対応できないと、5月病となるのです。そのため、5月病は医学的には「適応障害」と呼ばれることもあります。また、4月のスタートダッシュから飛ばし過ぎると、5月頃に「燃え尽き」てしまうのです。肉体的にはもちろん、精神的なエネルギーが枯渇してしまうのです。実は、4月からゴールデンウィークまでの1か月間が、人間が全力疾走できる期間として限界とも言われています。
この環境変化による5月病は、新入社員だけでなく、人事異動の際には誰でも発病するおそれがあります。転勤を伴う人事異動や職種が変わる人事異動では特に注意が必要です。
この場合は、体を休めるとともに、心を休めることが重要です。つまり、ストレスの解消が大切になります。
ストレスの解消法としては、スポーツ、音楽鑑賞、読書など自分の好きなことをやりましょう。好きなことが見つからない場合は、何も考えずに体を動かすことに没頭することも効果的です。部屋の掃除や整理をすると、部屋もきれいになって一石二鳥です。また、愚痴を聞いてもらうのも良い方法です。誰かに話すだけで気分が晴れたり、気持ちの整理、頭の整理ができたりするものです。
③内臓の疲れ
4月から5月にかけては、寒暖の差が激しい日が続くことが多いものです。そうすると、内臓が疲れるのだそうです。内臓の疲れは、自覚出来ません。内臓の疲れにより、身体が付いて来ない状態になり、気持ちばかりあせる状況になるわけです。結果がついてこない状況が続くと、自信を失い、鬱状態になります。
この場合は、内臓の疲れと自覚して、あせらないことです。そして、内臓を休ませることが大切です。具体的には、暴飲暴食を避けて、十分に睡眠をとることです。ストレス解消といって、食べ過ぎたり、飲み過ぎたりすることは逆効果です。
なお、内臓の疲れによる気力減退は、春だけなく、寒暖の差が激しい日が続く秋にも現れがちです。