決算の季節です。「もう少しで黒字だったのに」と悔しい思いをしている企業もあるのではないでしょうか。現実は厳しく、たとえ1円の違いでも赤字と黒字では銀行や取引先の印象は随分と異なってきます。今回は、今からでも間に合う黒字決算にするテクニックをお教えします。
①払い家賃
家賃は当月末に来月分を支払うという契約になっていると思います。3月末に支払った4月分の家賃は、実は(3月決算の場合)来期の家賃となります。つまり、この1ヶ月分の家賃は前払いになっているのです。この家賃を前払費用に計上することで、経費を減らして、利益を増やすことができます。
②棚卸資産
棚卸資産は、引取運賃などの仕入れの際に生じた付随費用を取得価額に含めることができます。棚卸資産が多くなれば、その分、利益を増やすことができます。また、外注先など保管してもらっている半製品や原材料など、計上漏れがないかどうかについても念のために確認してみましょう。なお、期末の評価法を変えることで、棚卸資産の金額を多くすることができますが、これには事前の届出が必要です。
③減価償却費
取得価額が30万円未満の資産は、全額を費用計上することができます(資本金が1億円以下である青色申告法人等に認められる特例)。しかし、この特例を選択しないで、通常の減価償却資産として計上すれば、今期の費用を減らして、利益を増やすことができます。(実は、10万円未満のパソコン等も、全額を今期の経費としては処理しないで、減価償却資産に計上することが可能です。)
④貯蔵品
販売や業務をするために必要な道具・物品で、使っていない状態で一時的に貯蔵してあるものは、貯蔵品として計上することができます。(というより本来は計上しなくてはいけません。)切手、収入印紙はもちろん、カタログなど広告宣伝物や事務用品・消耗品・見本品も未使用のものは、貯蔵品として資産計上することができ、その分、利益を増やすことができます。