思ったほど結果が出せないで悩んでいる経営者や管理職はいらっしゃいませんか。そんな方にお勧めなのが「バランス・スコアカード」という経営手法です。
バランス・スコアカードとは、実行可能な戦略を立て、それを確実に実行していく仕組み、即ち、結果を出す仕組みなのです。
今回は、バランス・スコアカードのエッセンスを簡単に紹介します。
【4つの視点】
バランス・スコアカードでは、4つの視点から戦略を考えます。
4つの視点とは、「財務の視点」、「顧客の視点」、「業務プロセスの視点」、「学習と成長の視点(人材の視点)」です。
通常、企業が戦略を立てる場合、売上高や利益額など「財務の視点」だけで考えます。しかし、それでは、なかなか有効な戦略や実行に結びつく戦略を立てることが難しいのです。
そこで、バランス・スコアカードでは、財務以外にも重要な視点から戦略を立てることにしているのです。しかも、それらの視点が互いにリンク(連鎖)させていくことがポイントです。
例えば、次のような具合です。利益を上げる(財務の視点)ためには、顧客に満足してもらう(顧客の視点)ことが必要です。顧客に満足してもらうためには、良いものを安く提供できる業務の仕組みを築く(業務プロセスの視点)ことが必要です。その仕組みが上手くワークするためには、社員の皆さんのスキルやモチベーションを高める方策を採ることが必要です(人材の視点)。
反対から述べれば、社員の皆さんのスキルやモチベーションを高めて、良いものを安く提供できる業務の仕組みを上手くワークさせることにより、顧客に満足していただく結果、利益を上げるということになります。
この論理では、まず、社員にとってプラスになることから始まります。だからこそ、実行が容易になるのです。
私は他の経営者とは異なり、社員、顧客、株主の順に考える。社員のモチベーションが上がれば、顧客のために働き、顧客満足度が上がり、その結果、業績は向上する。(ヴァージン・グループ リチャード・ブランソン会長) バランス・スコアカードを導入し分析した結果、社員満足度が5%上昇すれば、顧客満足度が1.3%上昇し、売上高は0.5%増加することが分かった。(シアーズ・ローバック) |
【戦略マップ】
バランス・スコアカードでは、4つの視点からの戦略を簡単な図にまとめます。これを戦略マップと呼んでいます。
戦略マップを作成することで、社員が、会社の経営戦略を理解できるようになるのです。
例えば、美容室では、次のような戦略マップが考えられます。
技術向上によるカット時間の短縮(人材の視点) |
【重要成功要因】
バランス・スコアカードでは、重要成功要因を明確にすることで、戦略の実効性を高めます。
重要成功要因とは、戦略目標を達成するために特に重要な要因です。
例えば、「顧客満足度の向上」という戦略目標を達成するため特に重要な要因を検討して、「クレームの減少」を重要成功要因と決定します。
重要成功要因を明確にすることで、最優先すべきことを明確にするのです。つまり「選択と集中」を図るのです。
【業績評価指標】
バランス・スコアカードでは、業績評価指標を決めることで、実行性を高めます。
業績評価指標とは、重要成功要因の状態(状況)を測る尺度です。測ることは本当に大切なのです。ピーター・F・ ドラッガーも「測れないもの(差が見えないもの)は管理できない」と断言しています。
例えば、「クレームの減少」という重要成功要因を測る尺度として、「月間クレーム件数」を業績評価指標と決定します。
もちろん、業績評価指標を決めただけではだめです。その指標で現状を測り、目標を決めることが大切です。その際、アクションプランを予め建てておくことが必要です。つまり、誰がいつまでにどうやって(何をして)目標を達成するかということまで決めておくことが大切です。
例えば、「品質管理責任者は、現在10件のクレーム件数を、出荷検査における抜き取り検査の本数を倍増することにより、来年3月までにクレーム件数を5件に半減させる」といった具合です。
バランス・スコアカードを全面的に導入すれば大きな効果が期待できますが、部分的に導入しても、かなりの効果は期待できます。できるところから、早速、導入を検討されては如何でしょうか。
分からないことや困ったことがあれば、遠慮なく、ご連絡下さい。「顧客の視点」を重視する私がお手伝いします。