【海外生産拠点における取引形態】
日本企業が採用している取引形態は主に二つのパターンに分けられます。
第1のパターンは、海外の製造子会社から製品を日本の親会社が購入し、販売するというものです。
第2のパターンは、海外の製造子会社が、現地や他の国の会社へ直接販売し、日本の親会社へはロイヤリティを支払うというものです。
親会社の貢献利益は、第1のパターンにおいては製品の取引の中で回収し、第2のパターンにおいてはロイヤリティにより回収します。
日本企業のロイヤリティの水準は比較的低く、ロイヤリティ料率の妥当性について近年着目されるようになっています。
【ロイヤリティ料率の算定方法】
ロイヤリティの算定方法は、主に下記の方法により決まります。
① 独立価格批准法( CUP 法)
・・・・・第三者間で取引される価格
親会社が独立した第三者から同種の無形資産の使用料を受領している場合はその料率、同種の使用料がない場合は、類似した無形資産の使用料を参考とします。
② 取引単位営業利益法( TNMM 法)
・・・・・営業利益をベースに計算する方法
製造子会社の営業利益からその貢献相当分を差し引いた残余利益を無形資産の使用料とします。この場合、製造子会社の貢献相当分の測定は、類似企業のデータに基づいて算出されます。
③ 原価基準法( CP法)・・・原価+通常の利潤
無形資産を創出するのに要した総コストに利潤をプラスして無形資産の使用料とします。
しかし、ロイヤリティを無形資産の使用の結果生み出される超過収益を源泉として支払われる対価であると解釈した場合、コストとは無関係に支払いが行われるため、あくまでも参考値として参照するものであると考えられます。
【事前確認制度】
移転価格税制については更正を受けた場合、追徴税額が多額になるケースが見受けられます。
特に無形資産取引については、ロイヤリティの金額の妥当性についての立証が容易ではないので、このような移転価格リスクを排除するため、事前確認制度によりロイヤリティ料率について事前に確認を取ることが必要であると思われます。