資本金1億円以下の中小企業を対象にした取得価額30万円未満の減価償却資産の一括損金算入制度の適用にあたり、この制度による一事業年度に認められる損金の上限は、300万円までとなりました。このため、300万円を超える場合には、どの資産を適用対象とするか判定が必要になります。今回は、その判定のポイントをまとめました。
① 税額控除の対象となる資産かどうか
対象資産が税額控除の適用対象となる場合には、長期的には税額控除を選択したほうが有利となる場合があります。ただし、この場合、一括損金算入制度の適用はできません。
主な税額控除として、中小企業者等が機械等を取得した場合等の法人税額の特別控除があります。この制度の概略は次のとおりです。
適用対象:特定中小企業者等(資本金3千万円以下ほか一定の要件を満たす事業者)
対象資産:
機械装置、ソフトウェア、電子計算機等
控除額:取得価額×7%
(法人税額の20%を限度)
② 特別償却の対象となる資産かどうか
上記の税額控除を適用できない場合等においても、特別償却の適用を選択する方法があります。
主な特別償却として、中小企業者等が機械等を取得した場合等の特別償却があります。この制度の概略は次のとおりです。
適用対象:中小企業者等(資本金1億円以下ほか一定の要件を満たす事業者)
対象資産:機械装置、ソフトウェア、電子計算機等
償却限度額:取得価額×30%
③ 耐用年数は何年か
耐用年数の長い資産を特例の対象とし、耐用年数の短い資産を資産計上したほうが、長期的な視点からみると早期に費用化が行えます。特に平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産については、従来より多くの償却が出来るようになりましたので、一括損金算入制度を適用しない場合でも、早期に費用化ができます。
④ 一括償却資産の対象となるか
取得価額が1台もしくは1組20万円未満の資産は、一括償却資産として3年で均等償却できます。この場合、償却資産税の対象とならない点においてもメリットがあります。
ソフトウェアなど償却資産税の対象でない資産はこのメリットがないため、償却資産税の対象となる資産を一括償却とするほうがより有利となります。