貴社では、新規顧客一人にはどれくらいの価値があるかご存知ですか。
新規顧客一人の価値は、業種・業態により、大きく異なります。
美容室の場合、一人のお客様には、なんと15億円の価値があるとの試算があります。これは、美容関連の月刊誌の編集長鈴木勝氏による試算です。その根拠を説明しましょう。
新しいお客は、30歳の主婦とします。名前を仮に佐藤さんとしましょう。佐藤さんは、3か月に1回パーマをかけ、8,000円支払うとします。また、パーマサイクルの間に1回カットを行い、5,000円支払うとします。すると、佐藤さんは、1年の間に、この美容室に対して、52,000円の価値をもたらす計算になります。
8,000円×4回+5,000円×4回=52,000円
佐藤さんが70歳になるまで、この美容室を利用してくれるとすると、40年間利用してくれる計算になるので、40年間での価値は、208万円と計算できます。
52,000円×40年=2,080,000円
これが、「顧客の生涯価値」といわれるものです。英語では、LTV(life time value)といいます。
もし、佐藤さんがこの美容室を気に入り、3人を紹介したとします。そして、紹介された人が別の3人を紹介したとします。これが6回繰り返されると、729人のお客が生まれます。
3×3×3×3×3×3=729人
この人達も生涯で208万円のお金を使うとすると、約15億円と計算されるのです。
729人×208万円=151,632万円
つまり、佐藤さんのLTVは、広く捉えると約15億円と考えられるのです。
※実際には、佐藤さんや途中の紹介者を入れると729人を超えますが、単純化のため、729人で計算しております。
紹介効果も考慮した15億円は大げさかもしれませんが、佐藤さん一人だけでも200万円の価値はあるわけです。
こう認識すると、経営判断は違ったものになってきます。
例えば、広告宣伝費の投入も違ってきます。1回の料金だけで考えると、一人のお客様を獲得するのに、8,000円以上かけると赤字となります。しかし、約200万円の生涯価値を考えると、一人のお客様を獲得するのに、10万円かけても安いものと判断できるはずです。
また、新規のお客様である佐藤さんに気に入ってもらえるかは、初回の印象が大切です。そう考えると、佐藤さんを担当する施術者には、店内で最も優秀な人を選ぶべきだと判断できるはずです。
まずは、貴社における「顧客の生涯価値」を試算してみて下さい。この上で、新規顧客獲得戦略や新規顧客への対応方法を練り直しましょう。きっと、成果があがるはずです。