2002 年 2 月に始まった今回の景気拡大曲面は 2006 年 10 月で 57 カ月目となり、戦後最長だった「いざなぎ景気」に並びました。現在も景気上昇の最中で、戦後最長の記録を更新中とみられています。
ところで、｢景気上昇最中｣という和菓子（もなか）があることをご存知でしょうか。
創業大正元年の老舗で東京は新橋に店舗を構える｢新正堂｣が販売しています。
この新正堂、大福を中心とした和菓子の製造小売業を営んでいましたが、最近は顧客数が減少し、売上げが毎年減少している状況でした。その原因を考えたところ、「①大福はおいしいが、日持ちがしないため、作り置きができない。そして、②大福はありきたりで、特に若い人には人気が無く、贈答用として客離れが起きている」の 2 つが思い当たりました。
そこで、新正堂では、日持ちがして、一般向けにインパクトの大きい新商品の開発に着手しました。
それが「景気上昇最中」です。最中にしたのは、最中であれば、大福と違って日持ちがするので、事前に作り置きができます。
新正堂は東京・新橋にあり、ビジネス街に近い立地なので、景気の良いネーミングで贈答用に利用してもらうことを狙いました。そして、名称だけでなく、パッケージにも工夫を凝らしました。包装の上から、「景気上昇最中」の文字が見えるようにしたのです。
この新正堂、実は東京都に「経営革新計画」の申請を行い、承認されました。そのお陰で、ホームページ作成やインターネット販売に必要な設備投資は、低利融資を利用して整備することができたそうです。また、広告宣伝活動や包装デザインの開発のために補助金を活用できたそうです。
この「経営革新計画」の申請には費用は一切かかりません。手続き的にも書類を提出するだけです。そして、承認が得られれば、様々な特典が得られます。ちなみに私のクライアントでは、四社が申請して、四社とも承認が得られました。
なお、新正堂では、「 切腹最中 」という商品も販売しています。こちらは、何かの不始末の時持っていく菓子折りとして、お奨めです。「詰め腹を切ってきたつもりでございます」という使い道もできるのではないでしょうか。
