平成18年5月に新会社法が施行されました。そこで、中小企業における定款の見直しのポイントについてまとめました。今回は、株主総会に関する事項についてです。
株主総会に関して定款で定める事項は、招集・招集権者および議長・議決権の代理行使・決議の方法・議事録などがあります。このうち、決議の方法について取り上げることとします。
株主総会の決議は、原則として普通決議により行われますが、一定の重要な決定事項については特別決議、特殊決議が必要となります。普通決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数をもって行います。また、定款で定めることにより普通決議を加重することができます。例えば、取締役の選任決議を普通決議から下記例のように加重することができます。
(記載例)
第○条 株主総会の決議は、法令または定款に別段の定めがある場合を除き、出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって行う。
2 当会社の取締役の選任をする決議は、前項の規程にかかわらず、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その出席した株主の議決権の3分の2以上をもって行う。
特別決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合にはその割合)を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2をもって行います。特別決議が必要な事項として、定款変更・事業譲渡・合併・解散・監査役の解任等があります。普通決議と同様に定款で加重することができます。
(記載例)
第○条 会社法第309条第2項の定めによる決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その出席した株主の議決権の3分の2以上をもって行う。
2 当会社の合併、会社分割、株式交換または株式移転にかかる契約または計画を承認する決議は、前項の規程にかかわらず、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の2以上を有する株主が出席し、その出席した株主の議決権の5分の4以上をもって行う。