事前確定届出給与とは、所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与をいいます。言い換えれば、毎月ではないが決まった時期(例えば7月や12月)に払う給与、つまり賞与(ボーナス)のうち、支払い額が確定しているものを事前確定給与といいます。
この事前確定給与の場合、事前に税務署に届け出れば、会社の経費とすることができるようになりました。(これまでは、役員の賞与は、全く会社の経費とすることができませんでした。)
したがって、ボーナスの支給額を予め決めておき、事前に税務署に届ければ、節税できるということになります。
つまり、これまで役員に夏期賞与及び冬季賞与を支給していたのであれば、この届出をすることによって、これで損金不算入となっていた役員賞与も損金として算入することができ、納める税金が節約できるわけです。
さて、問題はいつまでに届けなくてはいけないかということです。ルールでは、『提出期限は、「①その臨時給与にかかる職務の執行を開始する日」と「②会計期間開始の日から3ヶ月を経過する日」のいずれか早い日まで』と定められています。
ただし、実務上役員給与については月払いが一般的でしょうから例えば3月決算法人が5月26日に定時株主総会を開催し、定時株主総会の翌月の6月1日から開始する職務に対して役員給与を定めるようなケースも多いと考えられます。このように役員給与につて「職務の執行を開始する日」を定時株主総会の日以外と定めた場合であっても、その日が定時株主総会の翌月初であり、かつ、定時株主総会の日に近接する日であれば、税務上も、事前確定届出給与に係る「職務の執行を開始する日」として6月1日を職務の執行を開始する日とすることも企業実務の観点から是認されました。
一般に、職務の執行を開始する日というと、定時株主総会開催日と考えがちです。しかし、株主総会を開催し、その日のうちに税務署に届出を提出するのは、困難な場合もあるでしょう。また、従業員や兼務役員の賞与の算定(対象期間)は、定時株主総会開催日と関係ないケースがほとんどです。
そこで、会社法上は役員の職務は定時株主総会の日から開始していても、実務上、役員給与について職務の執行を開始する日を定時株主総会以外の日と定めた場合は、税務上も認めますと、このルールで明確にしたのです。