今年5月の会社法の施行に合わせて役員給与に関する制度の税制改正が行われました。これまでは損金への算入が認められていなかった賞与等の臨時給与も、一定の要件を満たせば損金算入が認められるようになりました。
【定期同額給与(役員報酬)】
「定期同額給与」とは、支給時期が(1か月以内の)一定間隔ごとで、支給額が毎回同額である給与をいいます。これは、改正前の役員報酬に相当するもので、もちろん損金に算入できます。
(損金算入できると、その分だけ課税所得額が少なくなるので、法人税額も少なくなります。)
かなりの会社が、役員に支給する報酬等の年間総額をあらかじめ決めておき、その金額を12か月で割った額を毎月支給する方式を採用しています。
ただし、注意点が3つあります。
(1)期首から株主総会の時期(最長期首から3か月)以外の改定差額は損金に算入されません。
(2)非常勤役員に一年分の役員報酬をまとめて支払う場合も損金に算入されません。但し、事前届出すれば損金算入は可能です。
(3)株主総会で遡及増額を決議して期首に遡って役員報酬を増額する場合は、改定差額は損金に算入されません。
【事前届出・確定額給与(業績非連動型賞与)】
これまで、役員賞与は、損金に算入できませんでした。
しかし、あらかじめ定めた時期に定めた額を支給する役員賞与は、損金に算入できるようになりました。
ただし、その支給を受ける役員が職務の執行を開始した日と事業年度開始の日から3ヶ月を経過する日とのいづれか早い日に届出を済ませる必要があります。
あらかじめ定めた額を支給するということは、業績とは関係のない「業績非連動型」のボーナスを意味します。
【利益連動給与(業績連動型賞与)】
一方、業績連動型の役員賞与についても、算定手続き等が適正かつ透明性であれば、損金算入が認められることとなりました。
ただし、残念ながら、業績連動型の役員賞与の損金算入は、同族会社には認められません。
同族会社とは、少数の株主で多くの株式を保有している会社のことで、いわゆるオーナー企業はほとんどが同族会社です。
なお、事前届出・確定額給与の損金算入は、同族会社にも認められます。