今回は、人間関係を円滑にするための書籍を紹介します。その名もズバリ、『人を動かす』です。(デール カーネギー著 山口博訳、創元社、 1999 年)
『人を動かす』は、既に 1,500 万部以上が出版され、「あらゆる自己啓発本の原点」であり、人間関係(ヒューマン・リレーション)の分野における「現代の古典」です。
人間関係でお悩みの方には正にイチオシの書籍です。
つい最近にもクライアント先の社長に「交渉に負けないようになる技術を教えていただけませんか」との相談を受けたときに、この書籍を紹介しました。
また、以前東京証券取引所に勤務していたとき、新人研修用のディベートの講座を担当しましたが、そのときも、ディベートに関するいろいろな技術論を説明した後で、一番重要な法則としてこの本で紹介されている原則を紹介しました。
確かに、交渉や討論に関する書籍は数多くありますが、その多くは「戦術」論に終始しています。つまり、短期的・局部的な争いに勝つ技術しか教えてくれません。その中にあって、この本は「戦略」を教えてくれます。即ち、長期的・全体的な観点から採るべき方法が説明されています。
例えば、「人を説得する原則」では、①議論をさける、②誤りを指摘しない、③誤りを認める などが紹介されています。いわば「戦わずして勝つ」や「負けるが勝ち」などの戦略です。
その本には、「人を説得する原則」のほか、「人を動かす原則」、「人に好かれる原則」、「人を変える原則」が、紹介されています。どの原則も、いろいろと実例をあげて説明しているので、読み易く説得があります。
この本にある気に入ったフレーズのごく一部を紹介します。
「敵を作りたければ、友に勝つがいい。味方を作りたければ、友に勝たせるがいい。」
「相手をやっつけるよりも、相手に好かれるほうがよほど愉快である 。」 「理解と、寛容は、すぐれた品性と克己心をそなえた人にして初めてもちうる徳である。」 「偉人は、小人物の扱い方によって、その偉大さを示す。」 「われわれは、 自分に関心を寄せてくれる人々に関心を寄せる 。」 「幸福でたまらないようなふうにふるまうのである。すると、ほんとうに幸福な気持ちになるから妙だ。」 |