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業績が上がらないのは努力が足りないからだ?

中小企業診断士 富永秀和
TEL 03-6789- 2387
e-mail: info@globalance.co.jp
http://www.globalance.co.jp/

今回は、よくある間違った論法について紹介・解説をします。

営業会議などで上司から「数字が上がらないのは、気合が足りないからだ」と叱られたことはないでしょうか。
或いは、「業績が上がらないのは、努力が足りないからだ!」と部下に怒鳴ったことはないでしょうか。
こういう根性論に納得がいかないことも多いでしょう。何故ならば、こういう根性論は論理的ではないからです。
論理学的には、“後件肯定”という典型的な論理的誤謬例です。
「PならばQである。Pである。故にQである。」は、「Pである」が前提になっているので、“前件肯定”と呼ばれます。この論法は間違っていません。
これに対して、「PならばQである。Qである。故にPである。」は、「Qである」が前提になっているので“後件肯定”と呼ばれます。この論法は間違いなのです。
具体例で考えれば、誤りが簡単に分かります。
「雨が降れば道路が濡れる」で考えてみましょう。
前件肯定では、「雨が降っている。故に道路が濡れている」との結論になり、問題のない正しい論法です。
一方、後件肯定の場合、「道路が濡れている。故に雨が降っている」と結論付けます。これは間違いです。道路が濡れている理由は、雨が降っているだけではなく、水道管が破裂したとか他の理由も考えられるからです。
別の具体例を紹介します。
「私は花粉症にかかっているとき、目が赤くなる。今、私の目が赤い。だから私は花粉症にかかっている。」はどうでしょうか。目が赤いのは、他の病気が原因かもしれないし、泣いているからかもしれないので、誤りなのです。
もっと簡単な具体例を紹介します。
「ある図形が正三角形ならば、それは二等辺三角形である。その図形は二等辺三角形である。故にそれは正三角形である。」はどうでしょうか。二等辺三角形は正三角形以外にもあるからこの推論は明らかに誤りです。

さて、当初の根性論に戻りましょう。何故、このような間違った論法がまかり通るのでしょう。
この根性論は次のような論証となります。
「努力が足りないと、業績は上がらない。業績が上がっていない。故に、努力が足りない。」
理論的には、業績が上がらない原因は努力不足以外にも色々とあるかもしれません。
しかし、実際の会議の場面では、目的と手段の関係を固定化してしまうことが多いものです。「業績向上」という目的を達成するためには、絶対に「努力」をしなければならないと思い込んでしまうのです。その結果、「業績向上」しないのは、努力不足と断定してしまいます。
このように、目的達成のために、自分が考えた手段が絶対であると思い込むのが、「後件肯定の誤り」ということになります。

さて、何故、自分が考えた手段が絶対であると思い込んでしまうのでしょうか。
それは、今までの経験・情報から、その可能性が高いからです。人間の脳は非常に効率的に考える癖があります。いわゆる省エネ思考です。過去の経験・情報などから直感的に結論を出すことができるのです。実際、その結論が正しいことが確率的にも高いのです。ですから、「努力が足りない可能性が高い」というのであれば、問題ないのですが、「努力が足りないに違いない」と断定するところに問題があるのです。
こう考えると、成功体験がもはや通じなくなっている現状では、その手段が正しい可能性は低く、むしろ間違っている可能性が高いのです。
また、もし、間違った結論を出すと非常に重要な案件の場合は、安易な省エネ思考は止めて、時間をかけて慎重に検討しなくてはなりません。直観・成功体験に頼って推論すると、間違った結論に行きつき、「冤罪」や「大損害」を引き起こす危険もあります。


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