今回は「経営/人生に役立つ映画」の第8回で、「プラダを着た悪魔」を紹介します。
「プラダを着た悪魔」とは、2006年公開のメリル・ストリープ主演の米国映画で、悪魔のような女上司のもとで奮闘する新人社員の姿を描く大ヒットコメディです。
（あらすじ）
一流大学を卒業し、ジャーナリストを目指して、ニューヨークへとやってきたアンドレア・サックス（助演女優アン・ハサウェイ）は、ファッション雑誌の編集部へと就職します。
そのファッション雑誌「ランウェイ」の編集長がファッション業界に対し絶大な影響力を誇るミランダ・プリーストリー（メリル・ストリープ）で、アンドレアはそのアシスタント職です。ミランダは自分の身の回りの世話をアシスタントに押し付けるなどの横暴を次々に発揮する最悪の上司です。その結果、今までに何人もがこの仕事を辞めていきました。ファッションには何の興味もなかったアンドレアですが、本来の目的である文芸誌での仕事への足がかりとして、彼女の悪魔のような要求に耐えていきます。
（君の代わりなんか5分で見つかるよ！）
悪魔のような上司からの仕打ちが我慢しきれなくなったアンドレアは、信頼する先輩ナイジェル（男性）に「もうどうしたらいいか分からない。正しいことをしてもミランダは認めてくれないし、感謝の言葉さえない。でももし私がへましたら…？」と愚痴をこぼします。
するとナイジェルは、「じゃ辞めてしまえ。君の代わりなんか5分で見つかるよ。」と。
アンドレアは、ハッとします。学生と社会人は180度も違うことに気が付いたのです。学生は学校に授業料を払っています。つまり御客様であり我が儘が許されたのです。しかし、社会人は会社から給料を頂く身です。甘えは許されません。ましてや人気が高く競争率の激しい職場で、しかも米国です。即日解雇も日常茶飯事なのです。
（君は努力していない）
アンドレアは「辞めたくないわ。私が言いたいのは…。死ぬほど頑張っているんだから、それを少しでも評価して欲しいだけです。」と先輩に訴えます。これに対してもナイジェルからは「君は努力をしていない。ただ頑張ったから褒めてと子どものように泣きわめいているだけだ。」と、一刀両断にされてしまいます。
自分がどんなに頑張ったところで自己満足に過ぎず、結果を出さなければ社会人としては意味がないのです。何がなんでも頑張れば必ず他人から評価されるわけではありません。むしろ、逆効果になることもあります。人から評価されるように頑張ることで評価されるのです。
（女は見た目が9割）
田舎出身のガリ勉タイプのアンドレアはファッションに気を遣う女性を軽薄だと見下していました。もしかするとファッションに詳しくないコンプレックスの裏返しで回りの女性を軽蔑していたのかもしれません。いずれにせよ、一流ファッション雑誌の社員ですから女性だけでなく、男性だってオシャレな人だらけです。こうした人を全て敵に回していたことになります。
そこで、アンドレアは先ず見た目から努力します。
その気になれば、ランウェイには撮影用のためにたくさんの服があり、メイク部もあります。そして、優秀なファッションアドバイザーの先輩ナイジェルも。
アンドレアの大変身に戸惑っていた周囲も徐々に彼女に対する評価を高めていきます。何よりも彼女自身の自信に繋がっていきました。
「女は見た目が9割」と言うと「人を見た目で判断するなんて怪しからん」とか「女性蔑視」などと猛反撃する人もいます。
しかし、社会で役に立つのは、善悪ではなく、事実なのです。外見で判断することが悪いことであっても厳然たる事実であるなら、それを素直に受け止めて対応することが大切なのです。
（新人教育用素材）
映画は米国が舞台ですが、日本でもこのような新人を配属された管理職も胃が痛いことでしょう。そうした場合、ガミガミと小言をいうのも無駄ではないかもしれませんが、「プラダを着た悪魔」のDVDをプレゼントするのも新人教育として有効な手段かもしれませんね。
