ハワイの書店でビジネス書「The Carpenter」を購入しました。米国では有名な作家ジョン・ゴードンの最新作です。望ましいリーダーシップについてストーリ仕立てで説明したものです。もちろん、日本では未だ翻訳されていませんので、今回は、この書籍のエッセンスを紹介しましょう。
題名のThe Carpenterは文字通り「大工さん」のことです。ある大工さんが主人公マイケルを助けるところから話が始まります。ベンチャー企業の社長であるマイケルはジョギング中に転倒して気を失いました。偶然その場に居合わせた大工さんが、マイケルのために救急車を呼んで、名刺だけ残して立ち去りました。
名刺に書いてある電話番号に電話してみると、留守電になっており、「いま取り掛かっている仕事に没頭しているので、折り返しの電話は暫く期待しないで下さい。お急ぎの方は、次の住所の職場に昼休みにお越しください。」とのメッセージが流れました。
マイケルは、その大工のジェイさんのことが気になり、わざわざ職場に出かけて、お礼かたがたテレビ台の製作を依頼しました。当時、マイケルは仕事に行き詰まり子供とも不仲になってしまっていました。一方、ジェイは非常に優秀で多くの人々に信頼されているようです。そこで、マイケルは、ジェイに秘訣(最もシンプルで強力な成功モデル)を教えてもらうことにしました。
ジェイの秘訣は次のとおりです。
まず、恐怖を退けること。成功を妨げるものは恐怖であり、成功に導くものは愛情である。そして、愛情を注ぐことで恐怖を退けることができる。
次に大切なことは奉仕すること。奉仕することで愛情を表現することができます。奉仕するとは何かを人のために犠牲にすることです。他人のために自分を犠牲にする姿勢には感動を覚えます。ましてや自分のために誰かが犠牲を払ってくれればとても感動することでしょう。
3つ目に大切なことは人に気遣うこと、人を思いやることです。思いやりを実行に移すこと、これまた奉仕です。
マイケルは、これら3つの秘訣を実行しますが、倒産の危機が迫っているので、なかなか成果が現れないことに焦りを感じます。そこでジェイに「価値あるものを築くには時間がかかるものだ。」と諭されます。そして、マイケル自身、ネルソン・マンデラ(元南アフリカ共和国大統領)の言葉「達成した成功の大きさで私を判断してほしくない。これまで何度躓いても必ず立ち上がった不屈の闘志で私を評価していただきたい」を思い出します。
努力のおかげでマイケルの会社は、ぎりぎりのところで倒産を逃れ、事業が好転し始めます。
その時点でジェイは最後の助言を残しました。「自分のビジネスの成功を狙って愛情・奉仕・気遣いを実行するのではなく、むしろ自分のビジネスを活用して、愛情・奉仕・気遣いを遂行しなさい。結果として、ビジネスも成功するでしょう。」
マイケルの事業は繁栄を続け、今では、愛情・奉仕・気遣いの大切さを教えることに幸せを感じるようになりました。