今から50年以上前、1961年に植木等の「スーダラ節」が発表され、「分かっちゃいるけど やめられねえ」というフレーズが大流行しました。歌詞は次のとおりです。「チョイト一杯の つもりで飲んでいつの間にやら ハシゴ酒気がつきゃ ホームのベンチでゴロ寝これじゃ身体に いいわきゃないヨ 分かっちゃいるけど やめられねえ」。
現代の若者なら、「ゲーム・スマホで夜更かし朝寝坊で会社は遅刻、分かっちゃいるけど やめられねえ」といったところでしょうか?夜更かしの結果、ボーっとして、業務命令も忘れがち…
スーダラ節は高度成長時代、会社も右上がりの業績が続き、こういうサラリーマンが許される幸せな時代でした。しかし、最近の会社には、こうした社員を抱えるほどの余裕はありません。
しかし、巷では、「叱責は逆効果で若者はやる気をなくすだけだ!」、「褒めて伸ばすしかない!」という主張が幅を利かせています。でも、そんなに甘やかせたら調子に乗るだけと悩んでいる社長・管理職も多いのではないでしょうか。
行動分析学という最新の心理学によると対応策は非常に簡単です。
まず、何故「分かっちゃいるけど やめられねえ」かというと、その行動に強い快楽を感じるからです。もちろん、後で苦痛は感じますが、快楽が苦痛を上回っていると感じている限り「分かっちゃいるけど やめられねえ」という繰り返しが続くのです。
こうなると解決策は、とてもシンプル。
苦痛が快楽を上回っていると感じるようにすれば良いのです。
具体的には、悪いことをすれば、罰を与えるということです。もちろん、強く叱らなくてはなりませんが、叱るだけでは十分ではありません。口だけでは、不十分です。 罰金を課すことが効果的でしょう。ポイントは直ぐに罰を与えることです。悪いことをしても、罰を与えるのが遅くなると効果が減ってしまいます。基本は「60秒ルール」です。即ち、悪いことをすれば、60秒以内で罰を与えるということです。この観点から、罰金を給与から控除するのでは、ほとんど効果はありません。その場で徴収した方が断然効果的なのです。
後で罰を与えるのは効果が薄くて良くないのですが、もっと悪いのは、罰を与えないことです。罰を与えないのは、この行為を会社が認めているというのも同然です。また、苦痛を与えない限り、快楽が苦痛を上回り悪い習慣は続いてしまいます。
確かに、叱責したり罰金を徴収するのは、こちらも苦痛を感じます。しかし、この苦痛を社長・上司が避けていること自体、社長・上司が悪い習慣を続けていることになります。先ずは心を鬼にして罰を与えないという自分の悪い習慣を直して、それにより、部下の悪い習慣を直しましょう。
(注)罰金については、労働基準法に触れないように、運用方法に注意して下さい。