2012年は団塊世代が65歳を迎え始める年です。実は5年前の2007年は団塊の世代が60歳を迎える節目の年にあったことからシニアビジネスの立上げがブームとなりました。
ところが、この第一次シニアビジネスブームはそれほど成果を上げることはできませんでした。何故なら、約8割は再雇用か定年延長で仕事を続けたので、時間的な余裕が増えなかったからです。
しかし、いよいよ今年は殆どの人が会社を辞めて完全に退職して、余暇に回せる時間が増えます。しかも、65歳からは年金が満額支給されるようになるので、ある意味、金銭的にもゆとりが生まれるはずです。ということから、第2次シニアビジネスブームが発生しつつあります。
そこで、今回は、失敗しないシニアビジネスの企画方法をお伝えします。
1.ターゲットを明確にする
シニアビジネスを企画する上で大切なのはターゲットを明確にすることです。何故なら、一口にシニアといっても、その範囲は非常に幅広く、一括りにはできないからです。
いわゆるアクティブシニアと呼ばれる層は健康で活動的です。下手をするとゲームに熱中して部屋に籠りがちな若者より元気かもしれません。その一方で、孤独死が心配される高齢者層も存在します。幅広いシニアの中にあってどのセグメントをターゲットにするかによって、マーケティングの方法も自然に異なってくるものです。
また、同じ年齢層にあっても、富裕層をターゲットにするのか、庶民的な人たちをターゲットにするかによって、ビジネスモデルも変わってきます。
こういうと多くの人が、大量の消費を長く続けそうなアクティブシニアの富裕層を狙うといいます。しかし、落ち着いて見直す必要があります。このセグメントは多くの企業が狙っているので、お客の奪い合いに陥り、大変競争が激しくなります。
有名な千利休の格言に曰く「人の行く裏に道あり花の山」です。(実は、この格言には下の句があり、「いずれを行くも散らぬ間に行け」と続きます。つまり、失敗したら素早い撤収が大切だと説いているのです。)
また、アクティブシニアの富裕層を狙う場合は、社会貢献的な目的は達成できなくなるおそれがあることにも留意が必要でしょう。何故なら、彼らは社会的な弱者ではなく、寧ろ人生の勝利者であるからです。
2.5つの攻略ポイント
さて、富裕な高齢者の心を掴むには、日本リサーチ総合研究所によると、①距離は短く時間は長く、②コミュニケーション、③品質と安全性、④モノよりサービス、⑤ソーシャルマインド のポイントが重要であるそうです。
実際、高齢者は、時間を節約する目的でネット通販を利用する必要性は低く、むしろ、ネットより店員との会話を重視する傾向にあります。特に高額商品については、実物を手に取って自分の目で確かめることを大切にしています。
また、高齢者にとっては店員との会話自体が楽しみなのです。故に、シニアに対しては販売員のコミュニケーション能力が非常に重要となります。
なお、⑤ソーシャルマインドとは、「社会のために自分は何ができるのか」という社会貢献意識のことです。
この5つを満たす商品・サービスは意外と市場には出回っていません。特に②コミュニケーションと⑤ソーシャルマインドを満たすモノが少ないのです。
故に、これらを満たすモノを開発すれば、シニアの心をがっちり掴むことができるでしょう。
以上、今年でシニアの仲間入りをした富永がお伝えしました。