人にものをほどこす心あるものは富貴に生じ
鎌倉時代の臨済宗の僧・無住の言葉で、「他人へのサービス精神が旺盛な人は、金持ちになる」といった意味です。
ビジネス風に言えば、「顧客第一主義で顧客に徹底的に奉仕をして、顧客満足度を高めた企業は、業績が向上する」ということになります。
実際、こうした顧客満足経営で成功した会社は数多く存在します。有名な会社では、ザ・リッツ・カールトンやディズニー、星野リゾート、ノードストローム(米国百貨店)があります。
欧米流の経営学では、「顧客奉仕という手段が利益増加という目的追求に有効である」という因果関係で説明されるでしょう。
しかし、無住は、そうした因果関係を説いたのではありません。仏教上の人の目的は悟りを得ることにあり、その手段として、布施(奉仕活動)があるのです。無住は、その布施には、富貴という副産物が付きますよ、と説いているのです。
因みに、この名言には次のような続きがあります。
人を敬う心あるものは高位に生じ、
慈悲の心あるものは生命長く、
忍耐の心あるものは形能く。
その意味は、「人を敬う心がある人の家は位が高くなり、慈悲の心があれば長生きをし、辱しめを受けても動揺しない忍耐強い人は容姿がよくなる」です。
先ず臨終の事を習って、後に他事を習うべし
日蓮宗の開祖、日蓮の言葉です。
臨終の事を習うとは、後悔のない往生を迎えることができるようにすること。先ず、後悔のない生き方を考えて、次にそれを実現する為に必要なことを習得すべきである。
有名なビジネス書/啓蒙書の「7つの習慣」(スティーブン・R・コヴィー著)でも、終わりを思い描くことから始めることの大切さが強調されています。その本では、自分のお葬式を想像し、弔辞として誰にどんなことを言って欲しいかを考えて、目標を立てることを勧めています。
ビジネス的に言えば、「逆算経営」の勧めです。逆算経営で有名な企業としては、「お、ねだん以上」のニトリがあります。ニトリでは、入社すると「70歳のありたい自分(=70歳ビジョン」を描かされ、次に「70歳ビジョン」を達成するためには、社内でどの部署を、どの順番で異動し、どんな業務経験を重ねたらいいかを逆算して考えるように、と指導されるそうです。
さて、後悔のない人生とは、どのようなものでしょうか。
死の間際に人間はしっかり人生を振り返るそうです。ある看護師によると、死を間近に控えた人々が口にした後悔の中で多かったものトップ5は以下のとおりです。
1. 「自分自身に忠実に生きれば良かった」
2. 「あんなに一生懸命働かなくても良かった」
3. 「もっと自分の気持ちを表す勇気を持てば良かった」
4. 「友人関係を続けていれば良かった」
5. 「自分をもっと幸せにしてあげればよかった」