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失敗した値下げ作戦、成功した値上げ戦略

中小企業診断士 富永秀和 
TEL 03-6789- 2387
e-mail: info@globalance.co.jp
http://www.globalance.co.jp/

価格設定は非常に奥が深いものです。短期的には成功に見えた値下げ作戦が長期的には失敗策と判明することもあります。また、同じ会社が値上げで失敗することもあれば、成功することもあります。今回は、八木康行という人物に焦点を当てて、価格戦略の難しさを説明します。


1.マクドナルドの値下げ作戦(成功例)
日本マクドナルドは、2000年2月に「ウィークデー・スマイル・プログラム」という今までにない大胆な値下げを開始しました。それまで130円だったハンバーガーを平日に限り半額の65円に値下げしたのです。この値下げ作戦は、大成功で、プログラム開始当初には販売数量が4倍程度に増加したそうです。
実は、消費者は自分なりの値頃感をもっています。この値頃感には、ある程度の幅があり、この範囲内の値下げであれば、違いがほとんど認識されないのです。つまり、あまりインパクトがないのです。故に、値下げする際は、値頃感の範囲を超えるように思い切ってやるべきなのです。
実際、2000年には、売上高が4,311億円と9.3%増を記録し、翌年01年にも4,388億円と売上を伸ばしました。こうして、日本マクドナルドは、2001年7月にジャスダック市場に上場を果たしたのです。

2.マクドナルドの値上げ作戦(失敗例)
上場を果たすと、2002年2月には手のひらを返したように、平日半額キャンペーンを終了しました。その際、ハンバーガーの価格を80円に設定しました。平日は65円だったわけですから、23%の値上げとなりました。値頃感の範囲内で徐々に値上げをすればよかったのですが、一挙に大幅な値上げを断行したため、消費者に与えるインパクトも大きかったようです。
事実、平日半額セールを終了後、既存店売上高は2桁減が続き、02年5月は前年比19.9%減、6月も13.4%減と惨憺たる業績になりました。
02年7月、この業績不振が原因で、藤田田氏は社長を退任し、後任社長には八木康行氏が就任しました。この八木氏は、マクドナルドに大卒入社し、ドライブスルー1号店の店長も経験した叩き上げの社員で、2000年には営業本部長を務め、藤田田氏の腹心だった人物です。
社長に就任した八木氏は、02年8月、ハンバーガーの価格を59円に再値下げしました。80円から見れば26%の値下げですが、65円から見れば9%の値下げに過ぎません。これでは、離れた客を呼び戻す効果はありません。この値下げ作戦は失敗し、02年12月の決算は、創業以来初の赤字となりました。
すると今度は、03年7月、ハンバーガーの価格を再び80円に戻しました。まさに迷走状態です。八木氏は値下げにより既に「ハンバーガーは安物食品である」というイメージを消費者に与えてしまい、そのブランドを失墜させてしまいました。
八木氏は、04年4月に藤田氏が心不全のため死去すると、任期途中の04 年5月12日、後任未定のまま突然辞任してしまいました。

3.リンガーハットの値上げ作戦(失敗例)
八木氏は、突然辞任のわずか4か月後の2004年9月には、株式会社リンガーハットの顧問となり、05年5月には社長に就任しました。リンガーハットは「長崎ちゃんぽん」で有名な外食産業です。
八木社長が断行したことは、新調理システムの導入と値上げです。
新調理システムとは、一人分ごとに冷凍された食材を電磁調理器で加熱する調理方法です。それまでの中華鍋で野菜や肉を炒めて作っていた調理方法に比べて、味が大幅に落ちました。
そして、06年9月には、メインメニューである「レギュラーちゃんぽん」の値段を399円から450円に値上げしました。
味が落ちた上に10%以上の値上げで、客数は激しく落ち込むようになりました。
すると、八木氏は、2007年夏、マクドナルドで売上げアップ効果のあった割引クーポン戦略をリンガーハットに活用しました。通常価格が450円のちゃんぽんや皿うどんがクーポンを利用すると100円引きとなり、わずか350円で食べられると人気を博してかなりの効果が上がりました。
すると、この一時的な成功に気をよくした八木社長はクーポンを乱発するようになってしまいました。しかし、クーポンの乱発は、実質的な値下げと消費者には感じられました。
そして、顧客には、リンガーハット=安物のイメージが定着してしまいました。マクドナルドに続き、またしてもブランドを失墜させてしまったのです。
業績悪化のスピードは激しく、八木氏は、任期途中の08年9月に引責辞任に追い込まれることになりました。実際、09年2月期決算は 24億3,400万円の純損失と1985年の株式上場以来最大の赤字となったのです。

4.リンガーハットの値上げ戦略(成功例)
八木氏に代わって社長に就任したのは、リンガーハット創業家の米濱和英です。
米濱氏は、直ちに割引クーポンを廃止しました。短期的には売上が落ちても、クーポンの乱発による「リンガーハット=安物」という顧客の間に定着した悪いイメージを払拭して、高い価値を提供することを決断したのです。
リンガーハット流の付加価値として、安全性と美味しさを消費者にアピールすべく、野菜は全て国産とした上で、量を25g増量したのです。
そして、2009年10月は、再び、値上げに挑戦しました。今回は、地域別価格制を導入し、450円から、西日本490円、東日本500円では、都内23区550円に値上げしました。
値上げと同時に、野菜2倍の「野菜たっぷりちゃんぽん」(全地区650円)もメニューに追加しました。
この結果、値上げにもかかわらず、客離れが起こらず、むしろ売上が増加したのです。

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